私たちは、好きなことに打ち込めば打ち込むほど、「学業や仕事とのバランス」「プロになるか・趣味として続けるか」などのさまざまな岐路に立たされることがあります。
ときに人生を大きく左右するため、好きなことへの向き合い方はとても難しいもの。
なんとなく自分に自信を持てずに日々を過ごしている人も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったまいさんは、バレエ女子として学生時代からいくつもの葛藤や試練を乗り越えながら、爽やかにいまを生きている方。
まいさんは、2021年4月から特に精力的にSNS(Instagram / YouTube)で発信。過去にプロへの道を考えたものの、今はバレエを趣味として楽しみながら、バレエの楽しさや課題解決方法を共有しています。
(↑YouTube「バレエ女子まいちゃんねる」。5月時点で、YouTubeの最初の壁といわれる登録者数100人を越えた)
本記事では、まいさんに「どんな暮らしをしてる?」「過去にどんなバレエ経験をした?」という質問にひとつひとつ丁寧に答えていただきました。
バレエ好きのみならず、芸術や好きなことに邁進したことのある方なら、生き方のヒントを見つけられるでしょう。
YouTubeにバレエに…現在はどんな生活をしているの?
――YouTubeでもお話しされていますが、まいさんが現在どのような生活をしているのか教えてください。
今年3月に4年間勤めていた仕事をやめて、今は友達の紹介を経てフリーランスの仕事をしています。
Webライティングが主ですが、YouTubeにも力を入れ始めたところです。
――お仕事をしつつ、週に4・5回くらいバレエのレッスンにも通っているんですよね。
はい。バレエのある日・ない日で若干異なりますが、仕事をしてからレッスンに行っています。
フリーランスだからこそ、ライティング・YouTube・バレエを並行するために、時間のやりくりには特に気をつけています。
――YouTubeの投稿は、どのくらいの時間がかかりますか?
まだまだ圧倒的に経験不足なので、1本あたりの編集は8時間くらい。撮影自体も1時間とか2時間とか…。
スマホで撮って、PCでAdobe Premiere Pro(アドビ プレミア プロ)という有料ソフトを使て編集しています。
有料ソフトに決めたのは、「使うところはお金を惜しまずかける!」という私の性格からきているかもしれません。
「無料ソフトでは限界があるかも」「中途半端になるかも」という気持ちから、Premiere Proを選びました。
――身近にいる周りの人たちに、活動を公言していますか?
YouTubeをしていることは、両親もバレエ教室の先生や仲間たちも知っています。
私の場合、周りの人に隠してやると「恥ずかしい、バレたくない」という心理が働きそうだったので。
やっぱり仕事を辞めたときは、両親には心配をかけました。
バレエ教室の人たちは「すごい♪」と応援してくれています。
プロになる or 趣味で続けるか。その先の葛藤
――バレエを20年も続けていたら、プロになりたいと思ったこともあったのでは?
高校生のときは、大学進学か、プロに行くかで悩みました。
いま振り返ると努力が足りなかったのですが、コンクールでは決勝は行けても入賞できないことが続いていました。
「高2の冬くらいのコンクールで入賞しなかったら、プロは諦めて大学進学しよう」と母と話して、その結果、大学進学に切り替えることに。
当時はSNSなどでもあまり情報収集できなくて、「プロになる」or「大学進学=趣味で続ける」という判断でしたね。
――とはいえ、熱心に続けてきたら…。スパッと諦められましたか?
大学に入ってからは、バレエ教室では同年代の子がすっかりいなくなり、バイトとの兼ね合いも難しい状態でした。
「バレエいつ辞めよう」「土日はレッスンがあるからバイト先のシフトに入れない(迷惑かける)し、いつまでこの生活続けるんだろう?」とばかり考えていて。
20代前半までは、かなり悩んでいました…。
――そんなまいさんが、社会人になってもバレエを続けてこられたのはなぜでしょうか。
大学を卒業して社会人1年目のとき、複数のバレエ教室が合同で開催する公演で、主役に選んでいただいたことがあって。
自分の通っている教室だけの発表会とはまたちがった緊張感で、本番までの7ヶ月ものすごく頑張りました。
その時の達成感が忘れられなくて…。舞台に立った瞬間、「バレエを続けててよかった」「やっぱりやめられない」と思いました。
だから、「ずっと続けてきた」というより「やめられなかった(舞台に立ちたいから)」という方がしっくりくるかもしれません。
――素敵な経験ですね。
いつのまにか「いつやめようか」の気持ちがなくなり、「続けられるだけ続けよう」という考えに変わっていました。
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社会人がレッスンと向き合うこと
――さらに、今では個人で働きながら、バレエについて顔出しで発信しています。相当勇気のある決断ですよね。
過去に仕事をしているとき、残業などで忙しくて、バレエに行きたいのに行けなかったり、レッスンに遅刻したりすることがストレスに感じていた時期がありました。
社会人だし、当然仕事を優先しなきゃいけない。けど、心の中では、仕事を言い訳にしているように感じてバレエに全力を注げない自分がいやで。
「やりたいこと」と「やらなきゃいけないこと」の兼ね合いは難しいですよね。
――まいさんの「中途半端にしたくない!」という気持ちをすごく感じます。
のちのち後悔したり、頑張れない自分のことがいやになったりしたくなくて…。
「残業だったけど、頑張ればレッスン行けたかも」とか「バレエに行ったら友達と話して気分がよくなったかも」とか、いろいろ考えてしまいます。
昔よりもバレエに対する熱は強いかもしれません(笑)
――「趣味で続ける」というスタンスは、どのように受け止めていますか。
もちろん、プロになる人って趣味レベルの人よりずーーーっと上の段階だと思います!
私はお教室で趣味として続けているからこそ、いろいろな役や経験をさせてもらうこともあり、とても感謝しています。
「バレエをもっと上手になりたい」という気持ちは、ずっと持ち続けていたいです。
SNSの発信では、プロの人たちとお教室の人たちの間の立ち位置になりたいと思っています。
SNSで発信することで広がる理想の未来
――InstagramやYouTubeの発信で、まいさんはどのような目的や目標を持っているのでしょうか。
「大人になってもバレエ続けてる人がいるんだ」「私もバレエをもっと続けよう」と思ってくれたら嬉しいです。
最終的には、インスタや動画を見て、バレエ人口が増えることに貢献できたらいいなと思っています。
発信者となるぶん、私も試行錯誤しながら情報共有していきます!
(↑まいさん流のトウシューズのかがり方。まるでバレエ教室のお姉さんが教えてくれているかのような、親しみやすさ&わかりやすさが魅力的)
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(インタビューを終えて…)
ライフステージにあわせて柔軟に変化する、しなやかな芯を持つまいさん。優しい雰囲気をまといながら、過去についてのぶしつけな質問にも笑顔で丁寧に答えてくださいました。
受け答えのときに選ぶ言葉のひとつひとつからは、プロへのリスペクトや、バレエへのゆるぎない愛情を感じました。
学生時代や社会人になってから、「好きなもの」と「生活」との葛藤を抱える人は多いです。まいさんのように、現状を変えたいと思って実際に行動する人はひとにぎりかもしれません。
しかし、行動する人には「ついていきたい」と思わせるような求心力があります。まいさんが自分にウソをつかず、バレエに真剣に向き合っているからこそ出した決断は、ひとりで悩んでいる人たちに勇気を与えてくれます。
まいさんらしい、心のこもった発信をこれからも楽しみにしていきたいです!
<まいさんのSNSアカウント>
- Instagram:@maimai__ballet
- YouTube:バレエ女子まいちゃんねる
(取材・文:ナカリナ)